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家賃滞納時に法的手続きをした時の判決と和解の違いとは

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最近の賃貸借契約では2020年4月の民法改正により、保証会社を利用するケースがより多くなってきています。しかし、前から入居している方や何かの事情があって、個人の連帯保証人を立てている借主も当然いると思います。その場合、長期(6ヶ月以上)の家賃滞納が起こった場合は家主側で「法的手続き」を実施することになります。今回は家賃滞納が起こった時に行う法的手続きによって得られる判決と和解の違いについて説明します。


まず、長期滞納のケースでは、家賃回収より明渡しを優先するという判断が多いと思います。払えない相手に時間をかけても被害が大きくなる一方ですし、早く明け渡しを完了して、新たに入居募集をすれば家賃収入を得ることが出来ます。
その場合の手続きとは、家主側が裁判所に訴えることによって始まり、裁判の結果は「判決か和解か」ということになります。はたしてどちらが家主側に有利なのでしょうか。
まず、裁判所に申し立てる際には「訴える内容」を明確にします。長期滞納のケースなら、「家賃を払ってください」と「部屋を明け渡してください」のふたつになりますね。両方を訴える場合もあれば片方の場合もあるでしょう。

判決というのは、家主側の「訴えた内容」以外のみしか得ることはできません。もし「部屋の明け渡し」だけを訴えた場合は、判決は明渡しだけを命ずることになりますので、滞納家賃の支払いを命ずることはありません。さらに、借主側の意向に反して「支払いや明渡し」の命令が出されるので、借主側が素直に応じないケースも多いです。そうなるとさらに「強制執行」という手続きが必要となります。

 もう一方の和解とは、裁判の過程で裁判所が双方に勧めることの多い手続きです。家主側と借主側が話し合って合意できる点を見つけられるように促します。訴訟に至る前の請求時には、家主との話し合いに応じなかった借主が、裁判所や弁護士などという法的な圧力を感じて、話し合いに応じることは多いと思います。ここで合意が得られると、裁判所によって「和解調書」が作られます。この和解調書は判決と同じ効力があります。

 判決との違いは「訴えた内容」以外のことも盛り込むことが出来ることです。もし「部屋の明け渡し」だけを訴えて始まった裁判でも、話し合いの末に「滞納賃料を〇〇円ずつ〇回に分けて〇〇までに支払う」という合意が得られれば和解調書に盛り込むことができます。もちろん、支払えない場合は「部屋を明け渡す」という一文も当然入れるでしょう。判決と同じ効力をもつので、約束が守られなければ強制執行できますし、よりこの約束が重いものとして認識すると思います。
また、「いつまでに支払う」とか「支払わない場合は明け渡す」という約束は借主側が合意して作られたものですので、一方的に下された判決よりも反発する感情も薄く、約束が守られやすいという側面もあります。そのため、強制執行が必要となる可能性は判決よりも低いと言われています。

 ただし、話し合いなので、家主側に不利な内容に流れる可能性もあるので注意は必要です。
いずれにしても、訴訟が始まったので和解に行き付く可能性が開けた、ということです。そのあとは「判決か和解か」を戦略的に選択する必要があります。
もし、訴訟を起こす前から合意しているなら、「即決和解」という手段で和解調書を作成する方法もあります。「支払い」も「明け渡し」も盛り込むことが可能です。一度、裁判が始まると判決まで時間もかかるので、裁判の前に合意できるなら一番手っ取り早い方法といえます。

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