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退去時に考えるリフォーム4パターン

賃貸オーナー向け情報

賃貸物件を運営していくうえで、切っても切れないのは入退去です。必ず入退去は発生します。退去時には次の入居者を確保するためにリフォームを適時行っていく必要がありますが、リフォームについて説明したいと思います。
リフォームは主に3通りが考えられると思います。まずひとつめは「原状回復のためのリフォーム」です。前の入居者が暮らしたことによって劣化した部分を「元に戻す」工事ですね。具体的には畳や襖の表替えや壁クロスの貼り換えとルームクリーニングなどです。入居者が故意や過失で壊したところの修繕もあるでしょう。取り替えたところは新しくなりますが、基本的な設備や建具等は「そのまま」なので、徐々に古さが目立ってきます。
2つめは「フレッシュな状態に戻すリフォーム」です。各扉のノブや蛇口、窓枠や敷居、木製やプラスチック製で出来た部分の傷や色の変化などは「原状回復のためのリフォーム」では修正されない部分なので、早ければ築5年を過ぎたくらいから目立ち始めてきます。具体的には前述した扉のノブや蛇口を磨いたり取り替えたり、窓枠や敷居などの木製部分をペンキやオイルステンで上塗りしたり、変色や欠けたプラスチック部分を取り替えたり、等の項目です。フローリングの補修、クッションフロアなら貼り換え、カーテンレールやサッシの網戸の取り替え等、「原状回復リフォーム」では通常は手を入れない箇所です。「まだ使える」という理由で放置しておくと、内見したお客様からは「古臭さ」を感じ取られてしまいます。少なくとも10年を過ぎたら、退室のたびに予算をとって実施することをお勧めします。予算の目安は「原状回復リフォーム+家賃の1ヶ月分」程度ではないでしょうか。
3つめはは「物件力を上げるためのリフォーム」です。「差別化のリフォーム」ですね。例えば築10年の物件が10年前の状態に戻っても競争力としては十分ではありません。物件に競争力を持たせて同じタイプのライバル物件との違いを打ち出します。この方法は予算がかかります。ただ、大事なのは費用対効果です。家賃を値下げした場合より収益が下がってしまうのでは意味がありません。できるだけ予算がかからずに、どれだけのことが出来るか工夫をすべきでしょう。テーマは「差別化」「オンリーワン」です。

  • 高性能な照明器具や可動式ライトに取り替える
  • 高級クロス(1000番クロス等)を採用する
  • 高級な畳(カラーや琉球等)を採用する
  • キッチンの扉を塩ビ製化粧シートでリメイクする
  • ユニットバスの一面を塩ビ製化粧シートと大判ミラーでリメイクする
  • 壁面収納を設置する
  • etc…

少ない予算で差別化する方法は、工夫次第で色々とあります。「差別化リフォーム」は費用をかけるばかりではありません。
4つめは「リニューアル工事」です。間取を変更したり水回りの設備(ユニットバスやキッチンセットの入れ替え等)を入れ替えたりするリフォームになります。この工事の目的も「物件力アップ」「差別化」ですが、かける費用と回収期間が異なります。この工事を「やるかやらないか」の判断は、「あと何年まで建物を利用するか」という貸主の考え方です。築25年位で建て替えなら外壁塗装は必要になりますが、「差別化リフォーム」のみで対応も可能かもしれません。キッチン、トイレ、洗面等の水回り設備も部分的な手直しでも対応可能でしょう。あるいは13~15年の時点で取替えを実施しても回収は可能かと思われます。
しかし、築40年位まで建物を利用するなら、間取変更を伴うリニューアル工事をしても回収期間は十分あります。ユニットバスやキッチン等を含めた設備も築20年の時点で取替えた方が効率がよいかもしれません。そのために貯蓄をしておくか、ローンの繰り延べ返済等の計画を立てておきましょう。これらリニューアル工事は、ある程度の中期的な視野で考えておくべきのがよいでしょう。
いかがでしょうか。今大切なのは「差別化のためのリフォーム」を退去のたびに、コツコツと実施しておくだと思います。原状回復レベルのみの施工では物件の競争力は落ちていく一方ですし、一度空室になると次の入居者が決まるまで苦労するのが容易に予想されます。できるだけ空室期間は少なくしたいので、予め予算取りをしておきましょう。

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