民法の中で「相続」に関する規定が改正されます。

これは相続時の配偶者の年齢が高齢になっていることから、配偶者の生活に配慮する観点から改正されることとなったようです。実に昭和55年以来、約40年ぶりの改正となります。

相続が発生した時、遺産分割協議の合意内容によって、配偶者がそれまで住んでいた家を手放さなければならなかったり、自宅を相続出来たとしても、その分現金などの財産が減ってしまい、経済的に不安定となってしまう問題がありました。

それを【配偶者居住権】や【配偶者短期居住権】で、相続後もそれまで住んでいた家に配偶者が住み続けられる権利が設けられました。

配偶者のメリットとして、例えば…

相続財産:自宅2,000万円、預貯金3,000万円
相続人:配偶者とその子供1人(それぞれ1/2ずつ相続)

[現行]

配偶者:2,000万円(自宅)+500万円(預貯金)=2,500万円
子供:2,500万円(預貯金)

[改正後]

配偶者:1,000万円(自宅)+1,500万円(預貯金)=2,500万円
子供:1,000万円(自宅)+1,500万円(預貯金)=2,500万円

こうする事によって、配偶者が住む家やお金にこまる事がなく、生活できる事になります。

ただし、条件にあてはまる方がこの権利を行使する事ができるので、配偶者が亡くなった際に困ることのないよう、条件を確認しておいてください。

【配偶者居住権】
配偶者が相続開始時、被相続人(死亡した人)の家に住んでいた場合、その家に一生涯住み続けることの出来る権利です。ただし、「遺産分割協議書などで配偶者居住権を取得する」あるいは、「遺言で配偶者居住権の遺贈を受ける」のいずれかに当てはまることが必要です。

【配偶者短期居住権】
相続開始時に、配偶者がその家に無償で住んでいた場合、「遺産分割協議が成立」あるいは「相続開始から6ヶ月」のいずれか遅い時期まで、住み続けることの出来る権利です。

公布日(平成30年7月13日)から2年以内に施行されることになっております。

まだ先の事と考えるのではなく、今のうちに関心をもってそのうち起こる相続に備えておきましょう。