借入可能額を算出する仮審査は、物件探しの前に受けるのがオススメ!今、利用者が増えているペアローンの話も含め、住宅購入前に知っておきたいローンのことを解説します。

住まい・暮らしの「かかりつけ医」を目指して。
地元大船・鎌倉に密着して50年以上。
不動産の仲介、管理、相続や運用のサポートを行っている株式会社栄商事です。

突然ですが、今後マイホームを持ちたいとお考えの皆様、ご自身が住宅ローンでいくらまで借り入れができるのかご存知でしょうか?
私の体感では、当社に物件探しや購入の相談に来られる方の多くが仮審査を受けたことがなく、実際にどのくらいのローンを組めるのかを把握されていない印象です。
ただ、借り入れ可能な金額が分からなければ、当然、予算も組めません。
当社としては、家が欲しいと思った時点で仮審査を受けることをオススメしております。
また、最近増えている「ペアローン」というローンの組み方。
こちらは夫婦や親子2人でローンを組むので、借り入れ金額が増やせますが、特有のリスクも存在します。
今回は、住宅ローンの仮審査と、ペアローンについてお話いたします。

●仮審査とはどのようなもの?

仮審査とは、住宅を購入あるいは建設する際に住宅ローンを組むため、正式契約の前に受ける審査のこと。
金融機関やサービスによっては、「事前審査」と呼ばれることもあります。
住宅は数千万円単位のお金を借り、長期に渡って返済していくことになります。
そのため金融機関も、契約者に返済能力があるか?を慎重に見極める必要があるのです。
その審査項目は、年収や職業、勤続年数など、返済能力に直結することはもちろん、同等に重視されるのが年齢と健康状態。
年齢に関しては2つの観点があり、1つは借り入れ時の年齢。
借り入れ時点で65歳未満または70歳未満かを審査するケースが多いです。
もう1つは完済時の年齢。
ほとんどの金融機関が、完済時点で80歳未満かを審査します。
そして健康状態については、ほぼ全ての金融機関が団体信用生命保険加入を必須としています。
これらは、30年以上にもなる長期のローン返済機関の間に、契約者が返済不能になる事態への対策です。
尚、仮審査は不動産会社から紹介してもらったり、複数の金融機関にまとめて審査してもらうサービスがあったりしますが、その場合、余分に手数料などが取られる場合も。
不動産会社を通さなくても直接、銀行など金融機関で受けられますので、そちらをオススメいたします。
その際は、新築戸建て(土地)物件で、まずはどのぐらい借りられるのか?フルローンを前提として行いましょう。
自分が借りられる上限を知ることができます。

●仮審査をしないとどのような問題がある?

そもそも借り入れできる金額がわからないと、予算が立てられませんよね?
その状態で物件探しをしても価格帯で絞ることができず、選択肢が広がりすぎてしまいます。
そして、たとえ理想の物件が見つかったとしても、後から審査をしたら予算オーバーだった、ということになりがちです。
実際、当社でも、予算を決めないで探しに来られる方は少なくありません。
仮審査自体を知らない方や、なんとなくこれくらいなら借りられるだろう、という感覚の方もいらっしゃいます。
その場合は当社から仮審査や資金計画のお話をさせていただくのですが。
また、せっかく良い物件が見つかり、借り入れも問題なさそうな金額だったとしても、仮審査をしていなかったばかりに他者に先に買われてしまった、ということもあります。
というのは、デベロッパーや売主からすると、契約後に審査して万が一通らなかったら契約は白紙。
解約となり、また買主を探す必要があるのです。
そんな機会損失を防ぐためにも、すでに仮審査を行った人と契約したいと考えます。
そこで、もし同じ物件の購入希望者が複数現れた場合、すでに仮審査を行っている人が優先されやすいのです。
つまり、仮審査をしないことには、
・そもそも買える物件がわからない
・理想の物件が見つかっても先を越されてしまう
といったデメリットがあるのです。

●住宅購入検討時は仮審査をしてからの物件探しがおすすめ!

前述のような理由から、仮審査は前もって、住宅がほしいと思った時点で受けられることをオススメします。
また、早めに仮審査を受けることには以下のようなメリットもあります。

1, 借り入れ可能額やローン返済額の目安が分かるので資金計画を立てやすい

仮審査を行うことで住宅ローンの借り入れ可能額の目安が分かります。
そして、そこからローン返済額の目安も算出できます。
これらを踏まえ、今そして今後の収入の見込みや、将来の出費(出産や子どもの進学など)も考慮し、より具体的かつ無理のない資金計画が立てやすくなるでしょう。

2, 住宅購入時の手続き等がスムーズに

前項でも述べた通り、売主側は仮審査に通っている購入者に対しては安心感を持てます。
売り主だけでなく金融機関とも話もスムーズにできるでしょう。
あとは本審査を受けるだけなので、手続きも比較的円滑に進められるはずです。

3, 審査に通る確率が上がる

住宅ローンの審査は、金融機関によってその審査基準は少しずつ異なります。
仮審査は複数社へ申し込むことが可能です。
そうすることで、審査に通る確率を上げることができるでしょう。

4, 複数の金融機関の住宅ローン商品を比較検討できる


上記の審査基準に加え、住宅ローンの商品内容も各社異なります。
借入期間や金利、条件、団体信用生命保険の保障内容などを比較検討した上で決められることは大きなメリットです。

●仮審査で注意することは?


このように、前もって仮審査をしておくことはメリットづくしなのですが、いくつか注意点もあります。
まず1点目。
先ほど、仮審査は複数の金融機関へ申し込めると書きました。
ただ、住宅ローン審査への申し込み情報は、金融機関が共同で利用する個人信用情報に記録されます。
2~3社程度であれば気にすることはありませんが、あまり数が多いと、金融機関によっては事前審査(仮審査)の判断に影響を与えることがあるのです。
尚、本審査でも複数社への申し込みは可能ですが、こちらは審査や契約に影響を与える可能性が大きく、審査の進行が遅れたり、信用に影響したりする場合も。
また、本審査時の事務手続きには事務手数料がかかります。
これは申し込みと同時にかかる手数料のため、複数社に申し込めば、その分多くの事務手数料がかかることになるのです。
住宅ローン申込者にとってはマイナス面が多いでしょう。

続いて2点目は、
仮審査を行う場合、自分が考えている予算よりも少し高い金額で申し込みをすることです。理由は、借入額が下がる場合は審査上の問題はありませんが、1円でも仮審査申し込み金額を超えた場合は、1から審査やり直しになってしまうためです。そのため、少し高めの予算で仮審査を受けることをオススメいたします。

最後3点目は、
仮審査はあくまでも「仮」であること。
物件が決まった上での仮審査に通っていれば、ほぼ本審査も通ると考えて良いでしょう。
しかし、物件が決まる前の仮審査の場合は、いざ購入するとなった際、その物件によっては本審査では通らない、といったことも考えられます。
また、借入可能額=実際に返済できる額ではありません。
仮審査で分かるのは「借りることができる最高額」です。
今後のライフプランや普段の生活費などは考慮されませんので、特に出費の面はご自身で注意しておく必要があります。
将来のことも考え、無理のない資金計画を立てましょう。

●ローンの組み方も色々。最近多い「ペアローン」とは?


ここで少々話は変わって、住宅ローンの組み方についての話になります。
実は近年、「ペアローン」という住宅ローンの組み方を選択されるご夫婦も多くなっています。
ペアローンとは、夫婦や親子で住宅ローンを組む場合に、2人で2本の住宅ローンを組み、お互いが連帯保証人となる住宅ローンのことです。
1つの物件に対して2人分の収入を合算して計算するので、一般的な一人で組むローンよりは借入可能額が大きくなることが最大のメリットです。
ただし、このペアローンには独自のリスクも存在します。

返済の負担増

借入可能額が増えることはメリットですが、その分もちろん返済額も増えます。
夫婦のどちらか一方が失業したり、収入が減ったりすると、かなり負担になりますよね。

贈与税がかかる場合がある

2人の住宅ローンを負担している割合と、住宅の所有割合が異なると、贈与税が発生してしまう場合があります。
例えば、夫婦で返済負担の割合は、夫60%:妻40% としているが、住宅の所有割合は半々といった場合、夫が妻に10%分贈与しているとみなされる可能性があります。
現実的には、夫婦の住宅の所有割合は50%ずつになるでしょうから、返済負担の割合も50%ずつにするのが無難と言えるでしょう。
また、先ほどのように一方が働けなくなった場合なども、もう一方が返済を肩代わりすると、贈与税が発生する可能性があります。

離婚した場合の負担

夫婦でペアローンを組んだ場合、万が一その夫婦が離婚する場合も、それぞれの支払いは続きます。
家を売ってローンが完済できれば揉めなくて済みますが、売却しても残債が残る場合も。
また、ペアローンでは2人共が所有権を持つ状態なので、どちらも合意しないとそもそも売ることができません。
売るのか、誰かに貸すのか、どちらかが家に残るのか…いずれにせよ話し合いが必要です。
家を出ることになった方は、住んでもいない家のローンの支払いに加えて、自分が新たに住む家の家賃も支払うことになります。
さらに、返済中は新規で住宅ローンが組めないので、別の家を買うこともできません。
家に住み続ける方にとっては、相手が支払いを続けるかどうかの心配がつきまといます。
互いに連帯保証人となっているため、もしも延滞や遅延があると、2人共の個人信用情報に記載されてしまいます。
このような理由から、ペアローンをあまりオススメしない不動産会社も多いです。
とはいえ、家の価格も上がっているので、ペアローンにせざるを得ない、という事情もあるのかもしれません。
どうしてもの場合は、しっかりと先を見据えた資金計画を立てた上で、夫婦関係を良好に保ちつつ、共に完済を目指しましょう。

●まとめ


仮審査とは、住宅購入にあたって借り入れができる限度額を知るための事前審査です。
これを受けることで、購入できる物件の予算感が掴めます。
借り入れ可能額やローン返済額が分かれば、無理のない資金計画を立てられるでしょう。
物件購入時にもスムーズに契約が可能です。
そして、住宅ローンの組み方も様々あり、最近はペアローンを選択する方も多いですが、これには注意が必要。
互いが連帯保証人になり、高額の借金を抱えるということは、それなりのリスクを覚悟する必要があります。
将来のことも考え、慎重に検討するようにして下さい。
そして何より、ライフプランと、それに見合った資金計画をしっかりと立てることが、幸せな住宅購入の鍵となります。
でも、資金計画とは具体的に何をしたら良いのか分からない、資料を提供して欲しいなど、住宅購入に関してお困りやお悩みがあれば、ぜひ一度栄商事にご相談下さい。
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