現在、登記簿上で所有者がたどれない“所有者不明土地”が増え続け、その総面積は九州の広さを超えるそうです。以前は山間部に多いとされていましたが、現在は都市部にも広がり始めているようです。また所有者がわからない土地のせいで、住民の安全や公共事業に深刻な影響を与えている問題が表面化してきております。
所有者不明とは、そもそもどんな状態なのでしょうか。
土地の所有者は通常、不動産の登記簿に書かれています。
所有者が亡くなると、新たな所有者の名前を登記、書き直します。この所有者は土地を売ったり、抵当に入れたりすることができます。ところが、もし登記簿を更新しないと、所有権を持つ相続人が、子、孫とどんどん増え、そのまま何十年もたって、全体像が把握できなくなってしまいます。
仮に一部の相続人が判明したとしても、全員の同意を得なければ、原則、土地の取り引きはできません。こうした登記簿では所有者が分からない土地、または所有者の所在、連絡先の把握が難しい土地のことを通称「所有者不明土地」と呼んでいます。
それではなぜ、登記をしないケースが相次いでしまうのでしょうか。原因のひとつは登記費用がかかることだと言われています。一般に登記には最低10万円はかかるそうですが、実は登記に法的な義務はないそうです。
最近、私のお客様でも相続の関係で、土地の所有者の変更届けを行いました。所有者の変更届けを依頼する際に取り寄せた固定資産評価証明書を確認すると、土地の所有者は親の名義で建物の所有者は祖父の名義だとわかりました。
今後建物を建て直す際に問題に成りかねないということでしたので、対処の方法を教わりました。今なら所有権を持つ相続人が生存していますので、早速手続きを行う予定です。
何十年も同じ場所に住んでいて、親の遺産相続時の手続きの際土地のみの名義変更だったのかもしれません。いざ、具体的なケースをお聞きすると、意外と身近な問題だと感じました。