賃貸物件では一般的に入居者(借主)が家財保険に加入することが多いですが、果たしてそれだけで全てのリスクを避けることが出来るでしょうか。やはり以下のような理由から、所有者(賃貸オーナー)が火災保険をかけるべきではないかと思います。
1.自然災害リスクへの備え
近年では火災保険として備える一番の理由かもしれません。当然、入居者の責任ではないので地震や台風などの自然災害で損害を受けた場合に対応できません。特に借り入れをして建てた共同住宅ですと昔は質権設定を金融機関が要求して半強制的に火災保険に加入させていましたが、最近では任意となっているケースも多いため、借入だけが残る可能性もあります。
2.空室の戸室や共用部分からの失火や事故
入居者の責任で起きた火災は借家人賠償特約で補償も受けられるかもしませんが、入居者の重過失が認められなかった場合や、空室の(漏電)火災、共用部分の給排水管の事故には対応できません。実際に共用部分で何か損害が出た場合には多額の費用がかかります。
3.臨時費用特約の活用
火災保険の特約に「支払われる保険金の10%(100万円限度)に費用を支払う」等という使い道が自由な上乗せ保険金があります。これが請求できることはあまり知られていません。例えば入居者の火災保険(借家人賠償特約)で損害の補償を受けた場合、重複して火災保険を使うことが出来ないので、オーナーの火災保険は請求出来ませんが、この「臨時費用特約」だけは請求することが出来ます。この臨時費用特約は火災保険商品により「不担保」「10%(100万円上限)」「30%(300万円上限)」等が選べます。保険料の節約で付保しないケースも多いですが、その意味と価値を理解した上で付保の有無を判断しましょう。
加えて火災や災害だけではない他のリスクとして、「建物の所有管理に起因する賠償リスク(工作物責任)」があります。これは建物に付随する看板や外階段等が原因で第三者へ損害を与えた場合のリスクです。対人賠償をカバーできる「施設賠償責任保険(3億以上を推奨)の付保」(火災特約もあり)をお勧めします。施設賠償責任保険は保険料が安い割に価値が高いので、おすすめできる保険です。
以上のことから大家さんには「火災保険(臨時費用特約付き)」と「施設賠償責任保険」が必要と考えます。
万が一の時の保険ですので、その時にしっかりと機能するよう検討しましょう。
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