今回ご紹介するのは道路付けが悪くて土地の有効活用が出来ないものを、道路付けをより良いものにして、土地の有効活用を可能にした事例です。
このケースではAさん所有の土地約500㎡を売却したいと相談を頂きました。当時の状況をご説明すると、建物を建てるのに必要な建築基準法上、認定されている道路には接しておらず、43条ただし書きの道路に接道をしていました。この43条但し書きは例外的に建築を認めるものです。図のように通路半分をAさん、隣地のBさんで2mずつを所有して通路として使用しておりました。Bさんの土地も600㎡ほどあり、43条但し書きで認定されていたのは全ての通路ではなく、ちょうど入口の部分までとなっていました。
建物を建てるには一軒につき2mは接道をしなければ建物を建てられません。この状態だとAさん、Bさんそれぞれ建物が1つずつしか建てられない状態です。
このままではAさん、Bさんともかなり大きな敷地を持っていて計すると1100㎡にもなりますが、全く有効活用が出来ません。有効活用が出来ない=売る場合の価値がものすごく下がることになります。開発行為を行って開発道路として整備することも検討しましたが、通路を介してつながっている2項道路では1000㎡までの接続となるため、要件を満たさず、また幅員を4mから4.5mへ拡げなくてはならず、その場合、通路に隣接している所有者に敷地提供の協力を得なければならないため、現実的な策ではありませんでした。
次に考えたのが、この43条ただし書きの認定を通路全体に延ばすことが出来ないか検討をしました。調べていくとこの土地を管轄する行政では、平成11年5月1日現在で建物が建っていた場合は認定が出来る事が分かりました。そこで平成11年前後の航空写真を見ると、Bさんの土地上に建物が複数建っていることが分かりました。Bさんにもかなりのメリットとなる事をご説明したうえで、ご協力いただき、当時の建物の謄本や、給排水図、解体工事の形跡などを調べ、証拠を見つける事が出来ました。(ここではあまり証拠の詳細は語れませんのでご了承下さい。)それら証拠から提出資料を作成して行政にかけあい、無事に43条但し書きの認定を延ばすことが出来ました。
無事に通路が43条但し書きの認定を取ることが出来ましたが、将来的なことを考えると給排水などのライフラインや権利関係をしっかりしたものにしなければ、将来的な利用価値が限定的になってしまいます。
まず、Aさん、Bさんそれぞれが2mずつ所有している形を共有する持ち分登記にすることを提案しました。全ての通路をお互いに使用することが出来ますのでメリットが大きくなります。また、将来的に敷地を処分する場合も通路の持ち分一部を売却すれば、次の所有者も安心して通路を使用することが出来ます。
次に給排水をAさんが売却のために動いているものの、Aさん、Bさんそれぞれが整備をするよりもお互いに費用を出し合って整備をしてしまった方が、無駄がないので、面積の按分で費用負担をして、ガス管の整備、給水は10世帯以上が分岐しても耐えうる75mm管での整備した後に管理上は行政に寄付すればメンテナンスがフリーになるので寄付、排水もそれに準じて整備をし、お互いに利用に関する覚書を締結しました。
以上のように整備をすることでお互いが、いかようにも有効活用できるようになりました。Aさんは整備終了後、敷地をまとめて業者に一括で売却しました。当然、建物が4つも建てられるようになりましたので、売却金額も当初に比べても高値で売却することが出来ました。Bさんは保有を続けておりますが、将来、アパートを建築することも、戸建てを複数建てる、一括売却など、いくつもの選択肢が出来たので、柔軟な運用が可能になりました。
すべてを取りまとめるのに1年近くの時間がかかりました。大手の仲介業者では時間のかかる案件は敬遠されますが、私どもでは時間がかかる案件も手がけています。Aさんにとっても、今回は直接関係のないBさんにとっても効果的な対策が出来たと思います。
もし、皆様の周りで賃貸契約・各種計画に関するトラブル・お困り事、あるいは、不動産全般に関するご相談がある際は、私たち不動産エージェントがお力になれますので、一度ご相談いただければと思います。